【イナスト2013/Xtreme】妨害指数のすゝめ

今回の記事は、ドリブル技、ブロック技に関するものです。通常、我々がこのゲームの守備について語る際、いくつか定石、定番の考え方があります。それは2013だろうとXtremeであろうと、何かしらあります。いつもの3人、と呼ばれるおなじみのDFを並べる際、中央にバレット風丸を置き、脇を佐久間とトーブで固めることで木瀧、天馬の攻撃陣の配置に関わらず安定して守っていた歴史は、その最たるものです。
以下、早く本筋を知りたい人は 新理論 の項目までスキップしてください。


経緯

 では、今回何故あらためてそうした守備について、語ろうとしているのか、理由はXtreme環境において議論の余地がはるかに広がったからです。2013においては、いつもの3人、の並びは確定しており、縦並びの補完を考える際に綱海‐佐久間のラインや、後半であればトーブ‐黄名子の並びなど理論こそあれど、キャラプールを考えれば、どのプレイヤーも同じ盤面になることが非常に多いゲームでした。したがって、その配置の良さを突き詰めることはできても、他に追随できるようなキャラや並びがほとんどなく、議論するまでもないことが大半でした。
 具体的には、大人綱海が流行した頃、ベンチの枠やサブGKに及ぶリスクは語られたが、ドリブルへの耐性そのものは佐久間を大人綱海に置き換える場合コマンドバトル上は上位互換であり、対ドリブルにおいて比較するまでもない状態でした。

 しかし、Xtremeにおいて環境での採用キャラは分岐、選択肢を多く持てるようになりました。それは、以前に投稿したTier表からも明らかで、Aランク以上のドリブラー、DFがかなり増えていることが分かります。2013ならそもそもゲージなど不安を抱えていて、採用自体が稀だったマイナーDF達も、今作では十分に採用候補になれるほど地力を増しています。

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Xtremeにおける守備陣

 新作では、前半の主要な守備陣は4強であるジャングル風丸、ジャングルトーブ、佐久間、鬼塚の4人であり、この4人をどう配置するかも一つ話題となっています。まず、木瀧を唯一止めるSB持ちの鬼塚はセンターバック確定。背が高く、守備力も最高クラスの大人風丸もDFに置くのが安定します。トーブ、佐久間の2人のうちいずれかがボランチに配置されますが、背の高さを取るならば佐久間をDFに、技威力の高さやミキシキャンセルを重要視するならばトーブをDFに置く、というのが一般です。
 さらに、後半はというと基本的にジャングルは維持、サプリDFである霧野や、黄名子などを交えて最適な配置を組みに行くわけですが、この時の定石、というのはまだ広まっていないと思います。もっと言えば、ここでもやはり意見が人によって分かれています。佐久間と霧野どちらをDFにするか、などは好例です。

 こうして意見が分かれているということは、世に複数の種類の盤面があり、つまり比較するべきものが存在している、ということになります。当然、議論に至るほどですのでいずれにも、それぞれの主張、長所があります。ですが、毎回平行線で終わってしまっては勿体ない、というのが正直なところです。なにより、本作は守備陣がより凶悪なゲームです。真っ向から崩すには、相当な研究・開発が必要になります。その際に、何か数字を用いて、客観的に比較できるようなデータを取れれば、というのが今回の記事に至った経緯です。

新理論・妨害指数 基本編

 よって、今回のデータを取る方法は守備陣を数値化し、それぞれの陣形において演算できるような仕組みを作ることです。具体例でいえば、○○なら~に強くなる、××はトップ下に置きたい、△△では火力が物足りない、ドリブルやブロックの強さを論じる際によく出てくる表現ですが、これをすべて数値化する方法、それを考えていきます。
ここからは、具体的なチームの一例を使って計算を紹介します。

I.
今回考えるのは以下のような木瀧天馬シュウの3トップ、それに対応する5人、太陽・佐久間・トーブ・鬼塚・風丸を以下のような配置にした守備陣です。今回、天馬又はトーブのミキシトランスによる技の変更は考慮しません。

拡大

(i)T天馬
天馬は、鬼塚は突破できますが、トーブと佐久間、風丸を後出しで突破することはできません。ここでは、後出し突破のみを突破可能とみなして、議論します。そうなると、配置の関係上、佐久間、トーブには接触しにくいことが分かります。逆のボランチである佐久間については、影響を及ぼさない、と仮定します。逆サイドのDFであるトーブについては、原則DF全員を行動不能にして得点を目指す、という定石があるこのゲームにおいて、多少なりとも接触の機会はあります。よって、今回は半分の価値とみなすと、この盤面で天馬を止める人数1×1+1×0.5=1.5人、と計算できます。

(ii)木瀧
同様の方法で、止めるキャラを換算すると、木瀧は鬼塚一人に止められる。トーブのミキシはここでは考えない。

(iii)マーク
 トップ下のキャラは、考え方が少し異なります。接触しやすいキャラは、相手のボランチの2人、中央のDFです。サイドのDFに関しては、攻める方向によってある程度意図的な回避が可能であることから、それぞれ半分の価値として計算します。マークは鬼塚と太陽に止められるので、その人数は1×1+1×1=2人となります。
 このように、盤面において役割関係のあるキャラを、ドリブラーごとに数えポジションによって倍率を掛けることによって、止めてくるキャラクターの人数をそれぞれ求めることができる、ということです。基本的な計算方法は全てこの考えによります。
 しかし、ここで太陽はミキシトランスでの運用が基本となる選手で、事実上常にマークを止めることができる、と考えることもできます。もちろん、実際の試合では他のドリブラーとの合わせ技や、カウンターで攻撃するので、完封とは一概に言えませんが、大きな圧力になっているのは事実です。ここでは、ミキシキャラによる妨害を2倍の価値で考えます。すると、止められる人数は1+1×2=3人となります。

以上で、サンプルのフォーメーションを用いた計算が半分終わりました。残りの半分は、左右対称(画面では、上下対称)の場合、すなわち木瀧と天馬の位置違い、若しくは太陽と風丸、佐久間とトーブの並びが位置違いになる場合です。攻撃側か守備側、どちらか片方のみを対称移動させて、計算すればよいです。

(II)左右逆の場合
(i)T天馬
トーブ、佐久間の縦の並びに直撃する。逆サイドのDFにジャングル風丸もいるので、止められる人数は1+1+1×0.5=2.5人とあらわせる。

(ii)木瀧
止めるのは中央の鬼塚のみで、1人である。

(iii)マーク
トップ下のキャラの場合、左右差に影響されないので同じ結果が得られ、2.5人となる。

上記の計算で求められた、ある守備陣形において1人のドリブラーに対して止められる人数を、この記事では妨害指数と定義します。以上の計算結果をまとめると、下図のようになります。

当然、試合が始まるまでは左右の配置というのは分からないので、陣形を組む際は左右差を少なくする、平均の値との差を安定させることも構築を組むこと、采配を考えることにおいて極めて重要です。言い返せば、これまで定石とされた縦並びの補完などは、こうした左右差を減らすことや、極端な弱点をなくして数値を良化させる、という行為に他なりません。

 

実践・応用1 ドリブルから考えるケース

ここからは、この妨害指数の他の使用用途を挙げていきます。まず、上の表ですが、ドリブル側から考えることもできます。では、一度何人かの選手をピックアップし表を作ってみます。今回は、FWに置くキャラは全て突進ができる、という条件をつけます。


このような結果が得られました。こうしてドリブラーを縦に追加していった表を基に、ドリブルチームの配置を考えることができます。数字が小さければ、単純にある特定の守備の並びに強い、ということが分かりますし、表から3人のドリブラーを選んで、適切に配置する際の一つの判断基準とすることができます。

ミキシドリブラーの場合


白竜や、アーサー天馬へのトランスをした場合、∞ゲージを得ますが、この時はドリブルの価値を倍とする、すなわちMIXT天馬に対し、風丸0.5人分の妨害力を持つ、と考えます。ミキシ相手には複数人の止めるキャラを使えば対応が効く点や、守備側のみがミキシの際は2倍の換算していることから自然な考えとなります。
よって、ミキシに関する定義は、攻防のいずれか片方のみが∞ゲージを保持している場合、勝利側を2倍換算とする。ただし、∞ゲージのドリブル側は一方的に負けてしまう場合、2倍換算はしない。

計算式
白竜:(右)1×0.5+1×0.5+1×0.5+1×0.5=2
        (左)1×0.5+1+1×0.5+1×0.5=2.5
    (中央)1×0.5+1×0.5+1×0.5+1×0.5=2

アーサー天馬
 (右)1×0.5+1×0.5+1×0.5/2=1.25
 (左)1×0.5+1×0.5+1×0.5+1×0.5/2=1.75
 (中央)1×0.5+1×0.5+1×0.5/2+1×0.5/2=1.5

実践・応用2 前半後半統合・他陣形との比較

これでほとんどのケースを網羅できましたが、後半になり、盤面が変化した場合に異なる点があるので、解説します。今回使用するサンプルは、GSシュウ天馬を中心とする守備陣です。

例えば、この盤面で木瀧とトーブがぶつかっていれば、トーブはミキシする可能性が高いので、計算の際は最も攻撃側にとって厳しい盤面を想定して換算するのがいいでしょう。また、ある3人のドリブラーを定めた時に、組み合わせによってはトーブが試合中ミキシをしない、不明瞭な場合もあります。(不動T天馬木瀧など)このような場合は、決め打ちをせずに、ミキシと非ミキシでの数字の平均を使うことも考えられます。

他陣形との比較

前半で使用した佐久間トーブ鬼塚太陽風丸の陣形を1、シュウ天馬軸の陣形を2とおき、これまでの演算を総まとめにした表を作成します。これが、最終的に当記事で目指している形です。


このように、ある守備の陣形を想定し、それにぶつけるドリブラーの通りの良さを数字で確認し、違いを表すことができます。具体的には、後半も鬼塚を使う場合、GS霧野を使う場合、佐久間をDFかボランチに置くか、など様々なパターンが考えられます。
表を縦横に広げていくことであらゆるキャラクター、盤面を想定した演算が可能となります。トップ下に置いた場合も計算したい場合は、左、右、左右平均の項目に加え、中央の項目も足せばよいです。

まとめ

今回は、妨害指数という、あるドリブラーに対してフィールド上のストッパーとなるキャラを、ポジションと永続ゲージによる価値変動を含めて得られる人数、という概念を用いてドリブラー、及びに各守備陣形の優劣を比較する一つの指標としました。
当然、この記事で定めたルールが全て絶対、とは言えません。当然、補正数値なども色々な意見はあるでしょう。しかし、考え方のベースとしては非常に有用で、一般ゲージの場合に貯まっている時間割合を乗じたり、技サークルを加味したり条件を付け足す場合も、似た式を組むことができます。絶対的正確さ以上に何より、一つの指標に則って比較を行う、という行為自体が非常に意味あることであり、議論を更に進める足掛かりとなります。是非、ドリブルブロックについて論じる際は参考資料として今後活用していただきたく、また今後の発展を願っております。