【イナスト2013】イナズマゲージ仕様検証 #1.5 裏話

この記事は、前回の 「イナズマゲージ仕様検証 #1 自然増加法則 答え合わせ編」
の続きになります。

infi-nity.hatenablog.com

前回の記事で、開幕からゲージが点灯するまでの時間の範囲を求め、表を作成しました。

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しかし、ここでまだ一つ宿題が残っていました。既に上がっていた報告の1つに、
開幕からドリブルを続けた天馬のゲージが2分50秒を過ぎて貯まった」というものがありました。

キックオフ時

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これはどういうことなのか、まだブレる要素があるとでもいうのか、と検証結果を脅かしかねない現象ではありますが、こちらも答えを示したいと思います。

 

キックオフからホイッスルが鳴り、パスが渡るまでに約2秒を要するため、この間に判定時刻が来てしまうと、最初の判定はボール未保持として扱われるから です。

 

では、実際に貯まる時間が変わる現象を考慮した表を作成するべく、この現象の証明を行います。ここからは、皆大好きいつもの計算の時間です。

 

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キックオフ後にボールを渡したキャラにドリブルさせ続け、ゲージが満タンになるまでに経過した時間をt(秒)とおく。また、元表にある10秒当たりのゲージ増加量をvx
(xはゲージ速度の名称が入る)

一般に、自然状態で、開幕からt秒経過した時点のゲージ増加判定回数をnとおくと、
0≦j≦9の整数jを用いて、

t=10vx(n-1)+j …(*) と表せる。(nは負でない整数、自然状態ではxはC~Sk)


数字の例として、(システム上あり得ないが)32秒でゲージBのキャラが貯まった場合、
32=10*1*(n-1)+jより j=2,n=4と定まる。判定回数はつまり4回であり、実際2,12,22,32秒のタイミングで判定がされているのでこの式は正しい。また、jは判定の1の位を示す数字であることも明らかである。

 

では、実際に場合分けしつつ計算してみます。ドリブル中のゲージ速度については、例によって過去の文献をご参考ください。(引用)

また、キックオフ後ボールを渡すのに約2秒かかる点について、簡単化のため、3秒後からドリブル判定になっているものとする。(小数点切り上げ)
つまり、jが3以上であれば、開幕からドリブル判定されているものと考える。

kakinokakki.hatenablog.com

 

(I) ゲージC・非化身キャラの場合(ドリブル中:ゲージB)

(i)0≦j≦2のとき
開幕のゲージ量は50%であることに注意して、ゲージがたまった瞬間を立式すると、最初の判定はボール未保持であることから、以下のようになる。

vc*1+vb*(n-1)+50≧100 単位:パーセント

これを満たす最小のnを求めればよい。vc=0.5,vb=1より、整理して

n≧50.5 nは整数より、n=51と決まる。これを(*)に代入して、
t=10*(51-1)+j=500+j

いま0≦j≦2だから、500≦t≦502 (8m20s~8m22s)


(ii)3≦j≦9のとき
同様に立式するが、今回は最初からゲージBとして判定されているので、
vb*n+50≧100 (%)  となる。これを整理するとn≧50。
t=490+jとなるので、493≦t≦499 (8m13s~8m22s)

 

(i)(ii)より、ゲージC・非化身キャラで開幕からドリブルする場合、ゲージがたまる時間は8分13秒から8分22秒の間である。

このように、計算で現象を説明することができます。

 

もう一つだけ、具体的なパターンを計算してみます。

(II)ゲージB・非化身キャラの場合(ドリブル中:ゲージA)

(i)0≦j≦2のとき
(I)(i)の時と同様に立式する。

vb*1+va*(n-1)+50≧100 単位:パーセント

これを満たす最小のnを求めればよい。va=1.5,vb=1より、整理して

n≧101/3=33.666… nは整数より、n=34と決まる。これを(*)に代入して、
t=10*(34-1)+j=330+j

いま0≦j≦2だから、330≦t≦332 (5m30s~5m32s)


(ii)3≦j≦9のとき
最初からゲージAとして判定されているので、
va*n+50≧100 (%)  となる。これを整理するとn≧33.33… nは整数よりn=34
t=330+jとなるので、333≦t≦339 (5m30s~5m39s)

 

(i)(ii)より、ゲージB・非化身キャラで開幕からドリブルする場合、ゲージがたまる時間は5分30秒から5分39秒の間である。

 

これを見てみると、判定時刻に関わらず、元の表のゲージAとまったく同一であることがわかります。これは、自然状態のゲージAのキャラが溜まる瞬間、ゲージが余計に溢れていることが理由です。元の表のチェック欄は、判定回数×ゲージ増加量(g/10s)により求められるゲージ増加総量であり、これが0.5を超えるものについては普段であれば超えた分が無駄になっているといえます。
しかし、そのゲージ増加がドリブル中のものである場合、最初の増加判定がドリブルかそうでないかで変わってきます。
二番目の例は、最初の1回目の判定でドリブルの恩恵を受けられなかったが、ドリブル中のゲージ速度帯は本来ゲージが溢れていたため、最初の損を溢れた分で補えた、ということになります。

この記事の初めに例に挙げた天馬は、ドリブル中のゲージSkとしての判定一回分の損失-3、(最初からドリブル判定ならば)本来もらえたゲージ総量51、初回判定の実際のゲージBとしての増加量1 
これらをすべて足すと、49となり50に及ばないことから、判定の1の位が0,1,2の場合に少し遅れてゲージが満タンになる、というわけです。

 

では、これらを加味して、本当に厳密なキックオフ後の表を作成します。

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以上をもって、本当に開幕ゲージ関連については終わりとなります。また、#1で述べた技演出のムービー後に判定時間が移る件ですが、こちらはオフラインとオンラインで移動時刻が異なるという結果に終わったので、追及を諦めます。
結局のところ、こんな秒レベルの議論なので、実戦で影響は皆無と言えます。ではなぜこんなことをした?無意味なのか?という話ですが、#2以降の計算においては今日の知識は必要です。自然増加とドリブル時の増加については、誤差の修正程度にしかなりませんが、それ以外の要因での変動、スルーパスやシュートによる増加量を正しく理解するには、今日の知識や演算方法は必ず必要になります。(この段落前回のコピペ)

グレートロードよりはお待たせしないよう頑張ります。